ファントム~もうひとつのオペラ座の怪人~

2019年11月22日(木) 13:30~ (TBS赤坂ACTシアター)
加藤和樹さん、愛希れいかさん、廣瀬友祐さん、大前優樹さん、エリアンナさん、エハラマサヒロさん、佐藤玲さん、神尾佑さん、岡田浩暉さん 他

超有名な『オペラ座の怪人』(アンドリュー・ロイド・ウェバー版)と同じ原作から作られた、別バージョンのミュージカルである。

あらすじ(公式サイトより)-----------
舞台は19世紀後半のパリ、オペラ座。
楽譜売りで歌手志望のクリスティーヌ・ダーエは、その歌声をオペラ座のパトロンの一人であるフィリップ・シャンドン伯爵に見初められ、オペラ座で歌のレッスンを受けられるよう取り計らってもらう。
一方、オペラ座では支配人のキャリエールが解任され、新支配人のショレが、妻でプリマドンナのカルロッタと共に迎えられた。キャリエールはショレに、オペラ座の地下に幽霊がいて、自らを“オペラ座の怪人”と呼んでいることを伝えるが、ショレは解任された事への仕返しに怖がらせるために言っているに過ぎないと取り合わなかった。

オペラ座を訪ねてきたクリスティーヌを見たカルロッタは、その若さと可愛らしさに嫉妬し、彼女を自分の衣裳係にしてしまう。ある日、クリスティーヌの清らかな歌声を聞いたファントムは、ただ一人彼に深い愛情を寄せた亡き母を思い起こし、秘かに彼女に歌のレッスンを行うようになる。ビストロで開かれたコンテストで歌声を披露したクリスティーヌは、カルロッタに「妖精の女王」のタイターニア役に抜擢される。フィリップはクリスティーヌを祝福するとともに、恋心を告白。ファントムは、そんな二人の姿を絶望的な思いで見送るのだった。

初日の楽屋、カルロッタの罠にかかったクリスティーヌは毒酒により喉を潰されてしまう。客席からは野次が飛び、舞台は騒然となる。ファントムは失意のクリスティーヌを自分の住処であるオペラ座の地下へ連れて行く。しかしそれが、やがて彼を悲劇の結末へと向かわせることになる―。
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11年前に一度観ているが、歌が残念だったこと以外あまり覚えていない。久しぶりに観てみようと思ったら出遅れてチケットが完売になってしまい、某所で譲っていただいての観劇。

ファントム(エリック)、クリスティーヌ、フィリップ・シャンドン伯爵はWキャストで、エリック役でもある城田優氏が今回演出を行っている。主役と演出を兼任する俳優さんを時々見かけるが、あれって自分の演技は誰が客観的に見てくれるのだろう…?


開演前のロビーをキャストがうろうろしているらしいと聞いていたので、少し早めに行って見てみようと思っていたのだが、渋滞が激しくてギリギリ滑り込みになってしまった。そしたら、皆さんはすでに舞台上に移動していて、やっぱり開演前からなにやらやっていた。

やがて通路からもキャストが入ってきて、そのまますーっと始まる演出は嫌いじゃない。が、今作はかなり客席降りが多く、やる方は移動距離が長くなるから大変そうだなと思った。

あと、一階席の前方や二階席後方だと登場するタイミングが見えないので、それが頻繁にあるとストレスかもしれない。私は一階の通路より後ろだったので、幸い全部見えたけれど…。

セットは、中央に出てくる可動式の部屋型のもの、バルコニーのような二階部分(一部可動式)、一番上にオペラ座の看板のようなものが固定で、ファントムが出てくる下水道のような通り道が上手奥にある。盆と地下トンネルと来ると、ちょっと『レ・ミゼ』っぽい。

一度可動式のセットが何かに引っ掛かり、収納できずに二度三度押して戻してとやっていたけれど(あれは手動だったのかな)、無事収納されたのでよかった。最近システムトラブルに遭遇することが時々あるので、一瞬「またか?!」と思ってしまった。

ストーリーは、最初に書いたようにほとんど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで観ることができた。歌も1、2曲聞き覚えがあったくらい。

オペラ座の話だからキャストもオーケストラも人数が多く、音楽的にはボリュームがあってとてもよかった。アンサンブルさんの歌唱レベルも高い。オケがセット後方の上方にいて、あるタイミングで見えるようになるという演出も素敵だった。その分アクティングエリアが少なくなっての客席降りなのかも。


この回のエリックは加藤さん。少し前まで怪人を追いかけていたのに、今度は自分が怪人になっている
最初の登場シーンは無言で、第一声は姿が見えない状況で声のみ響く。そのときの、とても幼い感じのセリフ回しが私には衝撃的だった。あの見た目でその話し方?って。ずっと地下で社会と隔絶された状況で生きてきたから精神が子供のまま、というのは理解できるが、まるで小学生くらいの幼さに感じられたので。

エリックは終始そういう話し方で、その一貫した役作りはすごいなと思ったけれど、せっかくのイケボが堪能できないのはちょっと残念でもあった。自分に自信がないからか猫背気味で、「エリックにかっこいい要素は必要ない」という演出プランが徹底されていた。それなのにエリック役はどちらも長身イケメン俳優。イケメンの無駄遣い(笑)。

唯一かっこよかったのは、一幕最後に上からロープで降りてくるシーン。まっすぐ立つエリックとふぁさーっと風になびくマントがとても美しいバランスだった。

クリスティーヌは愛希さん。歌声も立ち姿も美しく、ヒロインのキラキラ感に満ちていた。それがクライマックスにエリックの悲哀を際立たせることにつながっている。

クリスティーヌというキャラクターは、実は結構ひどい。伯爵に対してずいぶん馴れ馴れしいし、何度も「嫌だ」というエリックにほとんど無理やり仮面を取らせるし。愛があるから大丈夫と、まるで聖母のように語りかけておいて、結局受け止められずに逃げるという…。エリックがかわいそう過ぎる。

フィリップ・シャンドン伯爵は廣瀬さん。すらりとした長身と落ち着いた態度が、貴族のイメージにピッタリだった。舞台映えするわ~。クリスティーヌと二人で踊るシーンは、暗いトーンが多いこの作品の中で数少ない100%楽しいシーンで印象的だった。

カルロッタはエリアンナさん。歌声は迫力があり、でもコミカルだったりかわいらしかったり一曲の中でいくつもの顔を見せる芸達者な方でもある。自分の欲望に素直すぎて身を滅ぼしてしまうキャラクターだ。デフォルメせずに普通に歌ってほしいと思ったが、それだと話が破綻してしまうから仕方がないか。

キャリエールは岡田さん。彼の演技がとても素晴らしかった。キャリエールという男は正直ひどい奴なんだけど、演技のよさがキャラクターのひどさを遥かに上回っていたので、うっかり感動させられてしまった。終盤の、キャリエールとエリックのシーンは周りで涙腺崩壊している人が多かった。

ただ、せっかくいいシーンなのに最後の最後に妙な一瞬の間があって、あれはもったいないと思った。ほかにもそういう微妙な間を感じた場所がいくつかあって、シーンとシーンのつなぎには一工夫ほしいなと思ったりした。


とまあ、時々突っ込みを入れつつも、概ね満足である。
ストーリーに関しては、ロイド・ウェバー版もそんなに好きではないのだが、こちらの版でもあまり印象は変わらない。舞台作品として好きなのと話が好きなのとは、また別の話だよね、としみじみ思う。






舞台はよかったのに、今日は一幕で派手に着信音を鳴らした輩がいた。静かな、客席の通路を使ったシーンの最中に。
あれだけ開演前にアナウンスが繰り返されていたのに、マナーモードにすらしないというのはもう人としておかしいんじゃないかと思う。

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この記事へのコメント

TM
2019年11月23日 16:19
始まる前は、扮装したアンサンブルの皆さんのプログラム売りですから、全然要らなかったですよ^^
却って、オペラ座が場末館的な感じがしてしまって、残念でした。
また、衣裳も 舞台装置も、せめて日生劇場クラスにしていただきたかったなあ、
私は加藤さんは見れなかったのですが、城田さんも声を中心とした、作りが幼な子を連想させ、こんなファントムって?あるのかと。
愛希さんはダンスも歌も素晴らしく、良かったですよね~。

鑑賞後の人たちを見ていると、あまりにかわいそうなストーリーで胸が痛い人が多かったです。私もです。
ぽこ@管理人
2019年11月24日 12:08
TMさん☆
開演前の様子を教えてくださってありがとうございます。
プログラム売りでしたか。幕間にも熱心に売り子さんが歩いてましたね(あれは劇場スタッフかな?)。

舞台セットはシンプルで私はわりと好きな感じでしたが、引っ掛かったりするのは怖いので改善してほしいですね。
衣装は、クリスティーヌのドレスが…。特にレッスンの時のピンクの。あんなステージ衣装のようなドレスでレッスンするのは違和感があります。二幕のドレスはラインや動きがきれいでよかったです。