鮎湖のほとりでひとりごと

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<<   作成日時 : 2017/05/29 23:59   >>

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2017年5月29日(月) 13:30〜 (東京芸術劇場プレイハウス)
石丸幹二さん、堀内敬子さん、武田真治さん、新納慎也さん、安崎求さん、未来優希さん、小野田龍之介さん、坂元健児さん、藤木孝さん、石川禅さん、岡本健一さん、宮川浩さん、秋園美緒さん、飯野めぐみさん、莉奈さん 他

ミュージカル『パレード』を観てきた。

あらすじ(公式サイトより)------------------
物語の舞台は、1913年アメリカ南部の中心、ジョージア州アトランタ。南北戦争終結から半世紀が過ぎても、南軍戦没者追悼記念日には、南軍の生き残りの老兵が誇り高い表情でパレードに参加し、南部の自由のために戦った男たちの誇りと南部の優位を歌いあげる。

そんな土地で13歳の白人少女の強姦殺人事件が起こる。容疑者として逮捕されたひとりは北部から来たレオ・フランク(石丸幹二)。実直なユダヤ人で少女が働いていた鉛筆工場の工場長だった。北部出身の彼は南部の風習にどうにも馴染めずにいた。もうひとりの容疑者は鉛筆工場の夜間警備員、黒人のニュート・リー(安崎求)。事件の早期解決を図りたい州検事ヒュー・ドーシー(石川禅)は、レオを犯人へと仕立てあげていく。新聞記者のクレイグ(武田真治)はこの特ダネをものにする。無実の罪で起訴されるフランク。そんなフランクを支えたのはジョージア出身の妻ルシール(堀内敬子)、同じユダヤ人だった。「レオは正直な人だ」と訴えるルシール。裁判が始まり、ユダヤ人を眼の敵にしている活動家のワトソン(新納慎也)に煽られ南部の群衆はレオへの憎しみがつのっていく。黒人の鉛筆工場の清掃人ジム・コンリー(坂元健児)の偽の証言もあり、レオの訴えもむなしく、陪審員は次々と「有罪!」と声をあげ、判事は「有罪」の判決を下す。

あのパレードの日から一年、夫の帰りを家でただ待っているだけの無垢な女だったルシールは変わっていた。レオの潔白を証明するために夫を有罪に追い込んだ証言を覆すため、アトランタ州現知事のスレイトン(岡本健一)邸のパーティーを訪ね、知事に裁判のやり直しを頼む。彼女の熱意が知事の心を動かす。その結果、レオの無実が次々と明らかになっていく。二人の間の絆は、レオの逮捕により強く固く深まっていた。あらためて愛を確かめあう二人。だが、間もなく釈放されるというある日、レオは留置場から南軍の生き残り兵、メアリー(莉奈)の親友フランキー(小野田龍之介)らによって連れ出される。

白人、黒人、ユダヤ人、知事、検察、マスコミ、群衆・・・・それぞれの立場と思惑が交差する中、人種間の妬みと憎しみが事態を思わぬ方向へと導いていく。

そして、また、パレードの日がめぐってくる。「ジョージアの誇りのために!アトランタの町の、故郷のあの赤い丘のために」
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重く、辛く、苦しい。そんな作品だった。実際にあった冤罪事件を元にしたものだから、覚悟はして行ったのだが、打ちのめされてしまった。今までたくさんのミュージカルを観てきたけれど、ここまで硬派な作品はなかったのではないかと思うくらい(戦争ものは同じくらい硬派かな…)。

しかし、舞台そのものは非常に素晴らしい出来で、エンターテインメントと言ってよいものか迷うが、あえてその言葉を用いるならば、間違いなく上質なエンターテインメントであった。

キャストは実力者揃い。それぞれの登場人物を深く明確に演じて、観る者を物語に引き込む。「この人にとってはそれが正義」「この人の立場ならこうするしかないだろう」、というのが説得力を持って迫って来るので、理不尽だと思いながらも納得せざるを得なかった。

重苦しい話とは裏腹に、舞台セットは美しく幻想的だった。冒頭に大量の紙吹雪が降ってきて、舞台上をカラフルに染め上げる。一体これらをどうやって片付けるのかと思ったが、結局紙吹雪は片付けられることなく、この舞台を象徴するものとして最後までそこに有り続けた。滑らないのか若干心配になったが、どうやら滑らない素材だとのこと。
そして、唯一の固定セットである背後の大木が非常に印象的だった。

場面転換もスムーズだった。暗転が終盤までなく、流れるように物語が進行して行く。そして、だからこそ、ますますその重苦しい作品世界に絡め取られて行ったのだと思う。

楽曲もよかった。でも歌うのはとても難しそうだ。あれをしっかり歌いこなしたキャストの皆さんに拍手を送りたい(若干気になる人も無くはないが…)。

それにしても、欧米人の差別意識、とりわけユダヤ人に対するそれは、私には理解しがたい。ユダヤ人が不当な扱いを受ける作品を観るたびに思う。おめでたい島国育ちと思われても、理解出来ない方が幸せだろうな。そんな風にも思う。


キャストが本当に素晴らしかった。
主演の石丸さんは、几帳面でまじめなユダヤ人レオを熱演。ちょっと神経質でおどおどしてしまう様子と、裁判での検事側の妄想の中のレオとの落差がものすごかった。裁判シーンは本当に観ていて辛かったが、それは彼の心の動きがいちいち伝わってきたからだと思う。

艶のある声で緩急を自在に操る歌もさすがだった。「This Is Not Over Yet」は唯一と言っていいほど希望に満ちた歌だが、その後の展開が悲しすぎてトラウマになりそうだ。

ルシール役の堀内さんは、ちょっとのんきなほんわかした奥様から、夫の窮地に立ち向かう力強い妻へと変身する様が見事だった。すれ違い気味だった夫婦が絆を結び直す様子は、辛いこの作品の中での数少ないほほえましいシーンだろう。お二人の息もぴったりで、本当に頑張れと思いながら観ていた。

そして、ルシールのラストシーンの表情が凄まじかった…。かなり長い時間客席を向いて怒りや無念さなどを押し込めた複雑な表情をして空を見つめているのだが、彼女の顔を観ていたらじわじわと涙が出てきてしまった。

検事役の禅さん、ニセの証言をする黒人ジムの坂元さん、活動家のトムを演じる新納さんの三人が見事な悪役ぶりだった。

禅さんはこういう「地位のある悪い人」みたいな役が本当にお上手。レオ目線で観ると「なんだコイツ!」という感じだが、上手過ぎてもはや何も言えない。

坂元さんは、久しぶりに彼のポテンシャルを活かせる役だったのではないかと思った。最近コメディっぽい軽めな役をいくつか観ていて、そのたびにもったいないと感じていたので。ブルース調の囚人のナンバーは、本当に素晴らしかった。

新納さんは、一見渋い紳士風なので見た目はとても素敵だった。が、実は市民を扇動する反ユダヤの役で、最初に出てきたときはこの人が犯人なのかと思ってしまったくらい胡散臭かった(ほめてます)。歌も、アカペラの場面もあって難しそうなナンバーが多く、それらをいい感じに歌いこなしていたので、うっかり惚れてしまいそうだった。

レオとルシール以外の皆さんは、本役以外にも複数の役を演じていてきっと大変だろうと思うが、歌声がとにかく力強くて、民衆のシーンは怖いくらいだった。

不確かな情報からおもしろおかしく記事を書くマスコミ。自らの思い込みというフィルターのかかった状態でそれらを読み、怒りや恨みを募らせていく民衆。彼らの感情を、自分の地位や権力を高めるために利用する強者。この作品に描かれている時代は、当然紙媒体の時代だが、現在のネット社会でも同じようなことは起こるし、規模の差はあれ実際に起こっている。そして、民衆の意に沿うリーダーを演じる権力者たちの姿は、どこぞの国のトップを選ぶ選挙にも重なって見える…。

観終わって、電車に乗ってもなお、泣きそうになるのをこらえなければならないくらい気持ちを揺さぶられる作品だった。基本的には、笑って劇場を後にできるような作品が好きだが、こういう硬派な作品もまたよいなと思ったし、あえて今この作品を上演してくれた制作側の決断にも、拍手を送りたいと思う。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
凄かったのですね。。私このチケットを持っていましたが、ひとにゆずってしまってました。でもやはり見てこようかな。
それから、コメントの訂正がきかないとのことで、もしよかったら、こちらも含めて、削除してくださいますか?なんかくだらないことばかり書いてるような気がするので。ごめんね。
TM
2017/05/30 21:51
TMさん☆
あくまでも私の個人的な感想なので、まったくケロッとしている人もいましたよ

コメントの削除ですか?いつのものを?
匿名ですから、そんなに気になさらなくてもよろしいのではと思いますが…。
ぽこ@管理人
2017/05/30 23:14
度々すみません。やはり土曜に行ってきますね。比較的近いけど、2日はレミゼの日なので、連チャンとなってしまいますが、頑張ります。大勢の魅力的スターたちが出ますが 石0さん歌声や、坂0さんののりが、余り好きとは言えなかったので、ためらってました。同劇場のシアターでクヒオ大佐の妻を見たため忙しかったせいもあります。小さい劇場なので、俳優の存在が近くって、宮沢りえさんが、本当に綺麗でした^^私は10代のころからの彼女の変遷を見ていますが、本当に見事な1流の俳優になったと思います。
藤原君が、蜷川さんの言葉を丸ごと受け入れているのは、自分のほか市村さんと、田中裕子さん、りえさんだったと 言っていたのを聞いたことがあります。 さすがにまっさらな極めた人たちですよね^^
私はサイ芸劇場も近い方なので、以前台風の為に、1幕で帰宅し残念だったマクベス 今度こそこの目に焼き付けてこなくてはとおもいます。
5~8月は忙しくなりそうです。またダラダラと書きごめんなさい。
TM
2017/05/31 11:11
TMさん☆
お忙しいのですね。…人様のことは言えませんが。私も『レ・ミゼ』行きますよ〜。

さいたま芸術劇場が近いとは、うらやましい。あそこへ行くのは決死の覚悟です(笑)。
ぽこ@管理人
2017/06/01 17:09
Tさん☆
充実したお時間になったようで、なによりです。
藤木さん、渋かったですね。久しぶりに拝見しましたが、存在感ありました。
ハロルド・プリンス氏は、今作ではBW版の演出ではなかったですか?この演出もすばらしいそうです。どんな感じなのでしょうね。
ぽこ@管理人
2017/06/03 21:09
ぽこさんこんにちは! また間違いを書いちゃいましたね。
思い込みが多くて恥ずかしい。お手数ですが、削除してくださいね。
T
2017/06/05 15:25

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